「電話加入権」が長い間貸借対処表に計上されていませんか?場合によっては、損金(必要な経費)として処理することが出来ます。
ここでは、「電話加入権」の会計処理についてご説明いたします。
電話加入権の会計処理
「電話加入権」は、資産計上される
「電話加入権」は、電話回線を利用するに当たって支出するものなので、即時費用として計上してしまいそうですが、電話回線を利用する「権利」に該当します。よって、税務上は、資産計上(固定資産)することになります。
「電話加入権」は、非償却資産
さらに、建物や車のように、利用に伴い価値が減少していくものではありませんので、非償却資産に該当することになります。
つまり、減価償却はできません。電話加入権がなくなるまで、ずっと取得時の価額のまま貸借対照表に「電話加入権」として計上されたままとなります。
もしかしたら、みなさんの貸借対照表にも「電話加入権」として長い間計上され続けているかもしれません。
「電話加入権」の損金(費用)化
「電話加入権」の金額と評価損
電話加入権の価額は、現在36,000円になっています。
40年ほど前に80,000円だった「電話加入権」は、30年ほど前に72,000円となり、今現在は36,000円になっています。
会計を勉強している方であれば、「電話加入権」についてこれだけ価値が下がっているのだから、評価減できるのでは?と思われるかもしれません。
しかし、税法上は評価損の計上事由に該当しないため、評価損の計上は出来ません。
いつ損金(費用)化されるのか?
上記のように「電話加入権」は、取得時は資産計上され、時の経過に伴い償却もできず、価値が下がっていても評価損の計上は出来ません。
では、いつ損金(費用)化されるのでしょうか?
それは、除去時(解約時)です。
「電話回線はずっと使い続けていて、今後も使い続けるので、損金(費用)化は無理か~」と思われるかもしれませんが、そうとも限りません。
光電話に変えているなら損金(費用)化できる
アナログ回線と光回線
「電話加入権」はアナログ回線の利用権です。今は、インターネットの利便性向上のため、アナログ回線から光回線に契約を変更しておられる方も多いかと思います。
電話回線については詳しくはありませんが、アナログ回線から光回線に契約を変更した場合、電話番号はそのままの番号を利用できるようです。
光回線契約後の「電話加入権」
電話番号が変わらないため、「電話加入権」はそのまま持っておく必要があるように感じますが、光回線に契約を変更した時点で、アナログ回線を利用するための権利である「電話加入権」は自動で休止状態になるそうです。
解約して損金(費用)化を
休止状態だからと言って損金(費用)化はできません。もし、今後もアナログ回線をりようする見込みがないのであれば、アナログ回線を解約し、電話会社から受領する「契約解除完了のお知らせ」に基づく会計処理を行えば、電話加入権を損金(費用)化することが出来ます。
おわりに
「電話加入権」の処理については以上となります。
私は、電話回線については素人ですので、「電話加入権」が資産計上されている方は、一度電話会社にお問合せ頂き、「電話加入権」解約しても問題ないかご確認をお願いいたします。
休止されて今後利用する見込みのない「電話加入権」が資産計上されていることは、正しい貸借対照表を示しているとは言えない面があります。
もし、解約しても問題ない場合、資産計上されている「電話加入権」を損金(費用)化すべきかと思います。