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持続化給付金は税金の対象となるのか?


はじめに

 持続化給付金は、「感染症拡大により、営業自粛等により特に大きな影響を受ける事業者に対して、事業の継続を支え、再起の糧としていただくため、事業全般に広く使える給付金」で、個人の方であれば最高100万円、法人であれば最高200万円受給できることは既にご存知かと思います。そして、この持続化給付金を受給された、事業に活用された個人事業主の方や法人は多いと思いますが、経理をするに当たり、「持続化給付金は収入金額又は益金に含めるの?」というご質問を頂くことがあります。

 なんとなく、事業の継続・再起を目的として国が給付したお金なので、税金の対象とならないような気がいたしますが、どのような取扱いになるのでしょうか?

(参考:中小企業庁「持続化給付金」)


持続化給付金は税金の対象となるのか

 結論から言えば、持続化給付金は、総収入金額又は益金に含まれることになり、最終的に所得が生じていれば、税金の対象となります。その理由は、持続化給付金を税金の対象から外す法律がないからです。

租税法律主義

 日本国憲法の第84条には、「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする」という規定があります。これは、租税法律主義という規定になりますが、簡単に言うと、「法律(税法)がないにも関わらず、国が好き勝手に、国民から税金を徴収してはならない」という憲法の規定です。

 では、「持続化給付金に税金を課す」という法律があるのか?と聞かれれば、その答えは「ノー」になります。「法律がないのに、税金を徴収するなんて憲法違反ではないか?」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、憲法には違反していません。その理由は、法律の仕組みにあります。

法律の仕組み

 所得税や法人税では、あらかじめ「収入金額」「益金」についての法律があります。そこには、「収入金額はこのようなもの」「益金はこのようなもの」という定めがあります。そして、法律に別の定めがない限りは、あらかじめ定められた法律にしたがって「収入金額」や「益金」の判断することになります。

 一つ一つの取引について、収入金額や益金に該当するかどうか法律で定めていると、法律が膨大になります。そこで、大きく「収入金額」や「益金」について法律で定めます。そして、その収入の性質や経済上の観点等からみて、大きな取り決め通りの取扱いをすることが、合理的ではないものについては、その定めとは異なる取扱いをする法律を別に設ける、という法律の仕組みになっているのです。

持続化給付金は?

 「持続化給付金」については、あらかじめ定められた「収入金額」や「益金」に該当します。そして、「持続化給付金」を税金の対象から外す法律はありません。

 従いまして所得税法上は総収入金額に、法人税法上は益金に含まれることになるのです。

参考 経済産業省「持続化給付金に関するよくあるお問合せ 」 

(赤線筆者挿入)


税金が発生しない場合も

 税金は所得に対して課税されます。所得は、個人で事業をされている方の場合は、「収入金額」から「必要な経費」を差し引いた残り、法人の場合は、「益金」から「損金」を差し引いた残りになります。

 所得が生じた場合に税金が発生することになりますので、上記参考の経済産業省のFAQにもありますが、持続化給付金を受給されている場合であっても、所得が生じない場合には、税金は発生しないことになります。


終わりに

 税金に関する基本的な考え方(原則)としましては、さきほどの「租税法律主義」のほか、「租税公平主義」とい日本国憲法第14条(「法の下の平等」)に基づく考え方があります。

 「租税公平主義」の考え方によるのではあれば、最終的に儲けが生じた場合には、受給された方も受給されていない方も、公平に税金を課税することが平等だと言えるのではないでしょうか。