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持続化給付金に消費税がかかるのか?


はじめに

 持続化給付金が、法人税や所得税の対象となることは、お話させて頂きました。それに対して「では、消費税も税金の対象となるの?」と聞かれることがあります。

 そこで、ここでは、法人税や所得税の課税の対象となる持続化給付金が、消費税においても課税の対象となるのか、についてお話させて頂きます。

 (参考「持続化給付金は税金の対象となるのか?」)


持続化給付金は、課税の対象となるのか?

 結論から言えば、持続化給付金は、消費税の課税の対象から外されています。よって、10%の税金が持続化給付金から生じることはありません。

その根拠は?

 消費税法では、消費税の対象となるものについて「国内において事業者が行つた資産の譲渡等(カッコ書省略)及び特定仕入れ(カッコ書省略)」(消費税法4条「課税の対象」1項)と規定しています。

 そして、「資産の譲渡等」については、「事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供(代物弁済による資産の譲渡その他対価を得て行われる資産の譲渡若しくは貸付け又は役務の提供に類する行為として政令で定めるものを含む。)をいう。」(消費税法2条「定義」8号)と規定しています。

 これらの規定に該当すれば、原則的は、消費税の課税の対象となるのですが、持続化給付金は、資産の譲渡等の対価として得たものではありません。よって、消費税の課税の対象から外されることになるのです。

参考 通達

 国税庁/消費税法基本通達「資産の譲渡等の範囲」より

 消費税法基本通達5-2-15 

 事業者が国又は地方公共団体等から受ける奨励金若しくは助成金等又は補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第2条第1項《定義》に掲げる補助金等のように、特定の政策目的の実現を図るための給付金は、資産の譲渡等の対価に該当しないことに留意する。(平23課消1-35により改正)

 

 (注) 雇用保険法の規定による雇用調整助成金、雇用対策法の規定による職業転換給付金又は障害者の雇用の促進等に関する法律の規定による身体障害者等能力開発助成金のように、その給付原因となる休業手当、賃金、職業訓練費等の経費の支出に当たり、あらかじめこれらの雇用調整助成金等による補てんを前提として所定の手続をとり、その手続のもとにこれらの経費の支出がされることになるものであっても、これらの雇用調整助成金等は、資産の譲渡等の対価に該当しない。


持続化給付金は、消費税においては「不課税売上」です!

 上記の通り、持続化給付金に消費税が生じることはありませんが、消費税の課税事業者の方が会計処理をするにあたっては、「不課税売上」として処理をする必要があります。

 消費税には、「不課税売上」のほか、「非課税売上」があります。ともに、消費税がかからない売上(収入)ですが、「不課税売上」は、当初より消費税の課税対象から外れるものであり、非課税売上は、ある一定の社会政策的見地等から消費税を課さないと定めたものであり、その性質は異なります。そして、「不課税売上」にするか「非課税売上」にするかによって課税売上割合に異なるものとなってきます。「不課税売上」は、消費税の課税売上割合の計算に関係はしてきませんが、誤って「非課税売上」として処理してしまった場合、課税売上割合を下げることになます。そして、仕入税額控除の計算において個別対応方式や一括比例配分方式を用いた場合、仕入れ税額控除の金額を小さくしてしまうことになります。

参考 課税の対象とならないもの(不課税)の具体例

 なお、不課税売上の例として次のようなものがありますので、ご参考にされてください。

 

 消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡や貸付け、役務の提供(以下「資産の譲渡等」といいます。)が課税の対象となります。

 したがって、次のような取引は、課税の対象となりません。

 

 (1) 給与・賃金・・・雇用契約に基づく労働の対価であり、「事業」として行う資産の譲渡等の対価に当たらないからです。

 (2) 寄附金、祝金、見舞金、補助金等・・・一般的に対価として支払われるものではないからです。

 (3) 無償による試供品や見本品の提供・・・対価の支払いがないからです。

 (4) 保険金や共済金・・・資産の譲渡等の対価といえないからです。

 (5) 株式の配当金やその他の出資分配金・・・株主や出資者の地位に基づいて支払われるものであるからです。

 (6) 資産について廃棄をしたり、盗難や滅失があった場合・・・資産の譲渡等に当たらないからです。

 (7) 心身又は資産について加えられた損害の発生に伴い受ける損害賠償金・・・対価として支払われるものではないからです。

 しかし、損害賠償金でも、例えば次のような場合は対価性がありますので、課税の対象となります。

 イ 損害を受けた棚卸資産である製品が加害者に引き渡される場合で、その資産がそのままで使用できる場合や、軽微な修理をすれば使用できる場合

 ロ 無体財産権の侵害を受けたために受け取る損害賠償金が権利の使用料に相当する場合

 ハ 事務所の明渡しが期限より遅れたために受け取る損害賠償金が賃貸料に相当する場合

 

 (消法2、4、消基通1-1-1、5-1-1・2、5-2-4・5・8、5-2-13~15、11-1-2)

 (国税庁HP/タックスアンサー「課税の対象とならないもの(不課税の具体例)」より)


終わりに

 以上、持続化給付金に消費税がかからないことについて、法律を根拠にしてお話させて頂きました。

 参考になれば幸いです。